岡本寺のご案内
おやくっさん(薬師庵)の歴史
わが国では古来、水辺は神聖な場所とされてきましたが、とくに温泉は病気や怪我を癒す不思議な水として利用され、人々は畏敬の念をもって接して来ました。平安時代中期に差し掛かる10世紀ごろには、医療の神である大国主命(おおくにぬしのみこと)の化身と考えられた薬師如来の信仰が盛んとなりました。そこで「摂津三湯」の一つ「平野湯」として栄えた平野湯ノ丁の湯屋役らはこの信仰に基づきお薬師さんをお祀りする「薬師庵」を建立したのが、この薬師庵の始まりと伝わります。
薬師庵についてある方から、『江戸本所・隅田川のほとりにある「多田薬師 東江寺」のご本尊:薬師瑠璃光如来像は恵心僧都・源信の作で多田満仲の念持仏だというから、湯ノ丁の薬師庵と何か関係があるのでは?』という話があったり、あるいは『京都市伏見区にある「石峯寺(せきほうじ)」は平安時代中期に摂津国多田郷に建てられた沙羅連山石峰寺に発し、しかも、本尊は薬師如来─舎羅林山から移転したお寺の本尊がお薬師さんということで関係がある。』などという興味深い話があります。また、江戸時代、平野温泉で医者をしていた苧蘿山人(ちょらさんじん)の墓石が当山にあることも、平野温泉やお薬師さんと岡本寺は縁が深いのです。
かつて、9月8日の大祭には市長まで臨席されたり、朝から晩まで福引をしたり、宴会をしたり、駄菓子の大振るまいもありました。観音講の総勢はご詠歌を唱え、「百万遍」の数珠回しも必ず毎年行われました。「おやくっさん」に住んでおられた尼僧さんが毎月各戸を廻ってお参りしてくださったものです。
その後、尼僧さんが亡くなられ守る者もなく、庵の建物も傷みが激しくなりました。そこで、近所の人たちが相談されて建て替えの方針が決まり様々な方の努力によって、たくさんの寄付が集まり昭和54年(1979)無事再建されました。
しかし、かつては70軒余りの薬師講の方々がありましたが、時の流れとともに徐々に数が減り、最後は5軒になってしまいました。そこで、世話役さん方の依頼により2012年9月8日以降、岡本寺が管理することになりました。
お薬師さんの縁日は毎月8日です。朝9時~般若心経、消災妙吉祥陀羅尼、薬師如来本願功徳経(漢文と和訓の両方を読みます)などを読経しております。
一般の方もお参りできます。お薬師さんにおすがりされたい方はどうぞ。
- おやくっさんの縁日
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お勤め 毎月8日 9:00~(8月は夕方)
どなたでもお参り大歓迎!
どうぞお参りください。